経団連 日本の宝を捨てますか

 日本経団連が、武器輸出3原則と宇宙の平和利用原則を見直すよう提言した。国を超えた先端軍事技術の開発や共同利用が進んでいる。そんな時代に孤立していては、兵器の水準で立ち遅れる。安全保障にも支障をきたす。禁輸のルールを緩めるべき時だというのである。日本を取り巻く脅威の変化や財政事情のせいで、自衛隊の兵器購入は先細りが続き、防衛産業の行く手は厳しい。そんな危機感もあるに違いない。
              (中略)
 初めて武器禁輸原則が確立してからすでに40年近い。この間、日本が世界から「平和国家」として信頼されてきたことの利益は、計り知れない。日本外交の顔が見えないと言われるなかで、少なくとも軍備管理や軍縮の分野で発言力を維持できているのは、武器を売ってもうける「普通の国」でないからだ。武器禁輸がこれからもそうした国益を育んでいくことを軽視しては困る。河野衆院議長は、経団連の提言について「国際社会における日本の存在」を損なわせる、と評した。その通りではないか。
              (後略)

             (今日の朝日新聞社説より)