芥川賞に絲山秋子さん、直木賞は東野圭吾さん

第134回芥川賞直木賞日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に絲山(いとやま)秋子さん(39)の「沖で待つ」(文学界9月号)が、直木賞東野圭吾さん(47)の「容疑者Xの献身」(文芸春秋)が選ばれた。

絲山さんは東京都世田谷区生まれ。早稲田大卒業後、住宅設備機器メーカーに勤務した。退職後の03年、「イッツ・オンリー・トーク」で文学界新人賞を受賞してデビュー。04年、「袋小路の男」で川端康成文学賞を受賞した。過去に芥川賞候補3回、直木賞候補1回。群馬県高崎市在住。

 「沖で待つ」は、メーカー同期入社の男女が主人公。どちらかが先に死んだら、生き残った者が、死者の秘密を守るためにパソコンのハードディスクを壊す約束をする。芥川賞選考委員の池澤夏樹さんは「仕事の現場の雰囲気を細かく書いて、男女の同僚としての友情という小説で書きにくいテーマを、上手に過不足なく書き切った」と語った。

 直木賞に決まった東野さんは大阪市生まれ。大阪府立大卒。85年、自動車部品メーカー在職中に書いた「放課後」が江戸川乱歩賞を受けてデビュー。日本推理作家協会賞を受けた「秘密」や、現在テレビドラマ放映中の「白夜行」などで、過去に5回直木賞候補になっていた。東京都中央区在住。

 直木賞選考委員の阿刀田高さんは「新しいトリックはもうない、というのがミステリーの世界の常識だが、かなり特徴的なトリックを上手に使い、90点を超える作品に仕上げた」と話した。


       (今日の朝日新聞より)


      ++++++++++++++

          「私の時間」 http://fukurouribon.hp.infoseek.co.jp