「和風」『水と生きる』と『ぎだゆう座』

 着物を着ると和風の場所に行きたくなる。というより着物を着たいがためにそういう場所を選ぶというべきか。


 サントリー美術館の「水と生きる」は屏風、掛け軸、浮世絵、器、着物など水にまつわる作品の展覧会だ。ここは六本木のミッドタウンの中。やたらと和服姿が目についた。最近は着物を着る人が増えたのだろうか? それとも何かの催しがあったのか?

 
 その和服姿の人たちとすれ違うと、ほんとは着物や帯をじっくり見たかった。しかしこちらも着物だとすぐに私の視線を察知されるから極力見ないようにした。しかし観察して参考にしたかったなぁ。


 私は濃紺に細かい模様の夏大島に流水紋の濃いブルーグレイの帯。草履は朝方に雨が降っていたので用心のために雨用の草履。これは普通の草履と共に最近買ったもの。頑張って神楽坂の老舗草履屋さんのものだ。ここはテレビでも紹介される有名な店。鼻緒をきっちり合わせてくれて修理もしてくれる。浴衣姿のご主人に鼻緒を合わせてもらっていると、なんだか着物通になったみたいでちょっと嬉かった。まぁ、カードの引き落としのときに後悔するかも知れないけれど。


 帰宅して気が付いた、着物の袖の背中側にシチューのタレのようなものをつけてしまった。そんなものは食べていないし、どこでついたのか分からない。しかし着物を脱いだら全体をチェックしてしまうことの大切さを実感する。




 この日、午前中にサントリー美術館に行き、夜は御徒町近くの上野広小路亭で『ぎだゆう座』の講演を見た。そう『義太夫』だ。簡単に言えば三味線の横での語りだが、私も初めてで知識は皆無。その日の義太夫は女性だった。


 メインの出し物は「傾城阿波鳴門」。離れ離れになった母娘が再開するが、母は娘に自分が親だとは名乗れない、という場面だ。三味線と迫力のある語りで話の筋は分かっていても引き込まれる。なかなか面白かった。

 
 実は始めにやった義太夫体験のほうが面白かった。その講演会には歌舞伎をやっている子供たちも来ていて、子供に興味を持たせるための企画らしかった。短い口上文を大声で舞台と客席で合唱。(私はカラオケもやらないが)大声を出すことってとても気持ちがいいものだと思った。


 この広小路亭では落語や義太夫浄瑠璃などの演芸を教えるコースもあってなかなかの人気だそうだ。年齢層も広く、つまり老若男女だ。ぎだゆうの講演に来ていた子供たちは歌舞伎だけれど、日本文化の継承のため、講演だけでなく地道な活動も行われているようだった。



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