「兄弟」

    

 作詞家でもある、なかにし礼さんの小説「兄弟」。作者が「徹子の部屋」だったと思うが、いかに兄が酷かったかを話していたので内容は想像できた。

 しかし、なかなか読み進めなかった。いかに兄がいい加減かがこれでもかと言うくらい書かれている。一気に読めたのは最後の2章、兄と絶縁してからだ。

 『兄が死んでほっとしているはずなのに・・・・もう一人の自分を失ったようでむしょうに淋しい』と最後のほうに書かれている。万歳、ほっとしていると言いながらも、血縁というものはそれほどまでに強いものなのかと思わされる。

 しかしラストには『兄貴、死んでくれて本当にありがとう』。どちらも本心なのだろうけれど、共感するには少々難しい感情だった。