伊文化会館と山種美術館

 北の丸公園、千鳥が淵近くの内堀通りをブラブラ歩くとイタリア文化会館があった。このビルの赤い外壁の色が、皇居周辺の美観地区として景観が守られてきた場所に建てられた、その是非が話題になっている。

        
 
 このビルか〜、と上を見上げる。周りはグレーのビルばかり、その中にあってはたしかに目立つ。しかし新聞などで見た写真ではずいぶん赤が目立っていたけれど、その前を通っただけではあまり違和感を感じなかった。むしろ綺麗なビルだ。

 しかしどの角度からも見たわけでないし、地元に住む方たちの思いもある。難しい問題だ。


 そのイタリア文化会館を通り過ぎると山種美術館がある。だいぶ以前にこちらに引っ越したのだけれど、まだ来たことが無かった、こじんまりとした良い美術館だった。

 19日までの会期で「竹内栖鳳と弟子たち」(重要文化財「班猫」登場)。外はそんなに人通りは多くないのに、美術館に入ったら見学の人でごった返していて驚いた。

 竹内栖鳳は東の横山大観、西の竹内栖鳳と並び称され、第1回の文化勲章を両名共に受章している。その門下生も上村松園橋本関雪、土田麦僊、村上華岳などそうそうたる名前が並ぶ。

 竹内栖鳳とその弟子たちの作品を見られたのは面白かった。そのなかでも作者がその作品を描くにあたっての思いなどが書かれた「作者のことば」は興味深かった。

 私などの凡人でも、たとえば写真を撮るときに、料理なら美味しそうに、花なら色がきれいに、とかの思いがある。それが巨匠の作品についての思いが語られているのだからとてもその作品が身近に感じられたのだ。

 重文「班猫」は栖鳳が、一匹の猫がひどく気に入って、無理やり(?)自分の作品と交換して、毎日スケッチしたという。毛の1本1本まで丁寧に描かれ、刺繍のようにも見えた。

 私の好きな福田平八郎の作品も2点出品されていた。「彩秋」は紅葉した柿の葉とススキ、「筍」は文字通りムクムク出てきた筍、それぞれが斬新な感覚で描かれている。以前別の展覧会で見たことがあったけれどまた見られて得した気分だ。



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