祖母99歳

 白寿というとたぶん数えだろう、祖母は満で99歳になる。その祖母の誕生日のお祝いに一族が集まった。関係者が全員集まるとうるさくて収拾がつかなくなる。だからメンバーは厳選して孫までだ。仕事やら海外やらでやむなく不参加もいたけれど20人以上。

         

 祖母は相変わらず、肌はつやつや、声デカい。元気で何よりだ。99歳の祝いの席だったら「会席」などがふさわしいと思うのだけど、なぜかシャブシャブだ。もうすこし祖母には消化の良いものがいいのにな〜と思ったけれど、肉だってどんどん食べていた。すごい食欲だ。

 一番若い孫が「おばあちゃん、元気だね」とやってきた。
 「おまえ、誰だ〜〜〜?? 初めて見たよお」と祖母。

 それも無理は無い。少し前までちっちゃかった子がもうデッカクなっているのだから。私だって誰か分からなかった。

 その1番若い孫は19歳だった。そして一番年長の孫は、私でございまして、歳の差30歳超。

 「ねえ、私は君のおばさんじゃあないよ。いとこだからね。」、年を押しておいた。

 顔も分からない親戚と出会えたのも祖母のお陰だ。

 祖母は自分で歩くし食べるし、しかし背中が曲がってしまった。イスから落ちて腰を痛めなければ背中も曲がらなかったかもしれない。怪我をして周りが世話を焼きすぎたからか物忘れが酷くなった。(ということはあとになって聞いたことで、面倒をみてもいない私には分からないことであるが)そこだけが残念だ。あのまま歳を重ねたら口達者はそのままだけれど、しっかりしたもっと綺麗なおばあちゃんでいたかもしれない。

 しかしデイケアの施設に行っても元気で陽気だから人気者だ。ますます元気でいて欲しい。祖母は身をもって私たちに老いるということを教えてくれていると思う。

 


    ++++++++++++++

          「私の時間」 http://fukurouribon.hp.infoseek.co.jp