七草粥 

 あっという間に新年も一週間が過ぎ、食べすぎに注意と思ってもやはりだいぶ胃は大きくなっています。そして七草。昔から人間の行動は似たようなものだったのでしょう。このころになると「ちょっと食べ過ぎた〜」と反省の気持ちがムクムク顔をだします。だから疲れた胃やちょっと反省の心にこのお粥が染み渡るのです。


        


 最近、七草の前日になるとこのお囃子を思い出します。


「七草なずな とうどのとりが わたらぬさきに・・・トコトントコトン」


 無病息災を願って食べる『七草粥』、その準備をする六日の晩に、まな板の上には火箸、すりこぎ、おろし 金、杓子、菜箸、火吹竹などの7つの炊事道具を並べ、上記の囃子歌を歌い、まな板に置いた七草を包丁でトントンと切り刻んだそうです。


 この歌にある、とうどのとりとは『唐土の鳥』で、『中国から渡って来る鳥』という意味です。その頃から大陸から渡って来る鳥が疫病を連れてくると考えられていたそうです。だから「鳥が大陸より疫病を連れてくる前に『七草粥』を食べて無病息災を祝ってしまおう。」という願いを込めて歌ったのです。もしかして鳥インフルエンザは今に始まったことではないかもしれません。


 この話は自然の理にかなっているからいいなあと思います。昔、庶民は病気になったら薬でなく食べ物で治していたわけです。そしてこの囃子は病気になる前に、予防医学としてこの時期にはこういうものを食べるのがいい、という教えが込められています。現代は医学は発達しましたけれど、病気にならない自然の知恵ももっと学んでいいですね。


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 ちなみに、せりは便秘や風邪の予防、利尿作用。なずな(ペンペン草)は視力、五臓に効果。ごぎょう(母子草)は吐き気、痰、解熱。はこべらは歯茎、排尿、腫れや痛み止め。ほとけのざ(おおばこ)は歯痛。すずな(かぶ)は消化促進、肝臓病や高血圧の予防。すずしろ(大根)は胃健、咳止め、神経痛。これで七草。


 七草粥は中国伝来の風習で平安中期ごろには始まっていたらしいです。




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