3月スキーとぬれせんべい

 今シーズンはまだ1回しかスキーをしていない。休みが取れなかったことと、暖冬で雪が少なかったからだ。桜の開花が話題に上るようになったし、スキー場も開店休業状態のところもあると聞いた。


 先週の天気予報ではかなり強い寒気がやってきて大雪になりそうだという。今年最後だと新潟にスキーに出かけた。始めは雨だったが、関越トンネルを抜けると雪が降り始めた。しかしあたりの風景は、地面や山肌が見える。雪が消えかかるころのものだった。宿に隣接したスキー場のゲレンデも地面が無残に剥き出て、リフトは止まっていた。


          吹雪であたりがよく見えない



 しかし翌日、景色は一変した。雪は強い風のため真横に降っていた。スキーヤーとしては文句は言えないけれど、吹雪で寒かった。そのぶん雪質はサラサラでいい感じ。


 そこは越後湯沢、夜の全国ニュースでもここは今年一番の大雪だったと報じられていた。あのニュースで昨日と今日の風景の違いを映していたが、そのとおり雪がないゲレンデが一夜にしてコンデション最高のスキー場に生まれ変わっていた。自然というのは恐ろしい力を持っていると改めて思う。


 こちらに着いたとき、スーパーに寄って買出しをした。連れがいつの間にか酒類のほかに濡れせんべいをいくつか買っていた。おせんべいはパリッとしているのが美味しいのに、なにをわざわざ湿っているのを買うのだろう?


 知り合いが子供のころ、柔らかいおせんべいが好きだから「湿気(しけ)ったおせんべい、ください」と買いに行ったという。もちろんそこのおじさんに「うちには湿気ったせんべいは無い」と怒られたそうだ。


 文句を言いつつ濡れせんべいを食べる。グニャと曲がるしパリパリという音もしない。なのにもう1枚食べる。また手が伸びる。


 濡れせんべいは多分どこででも売っていると思う。しかしここは米どころ、新潟の名物なのだろうか?ちょっと調べただけではっきりとはしない。しかしどうもしょう油で有名な銚子ではじめに作られたようだ。そして少し前に話題になった存続が危ぶまれている銚子電鉄で売り出したせんべい、ものすごく売れているというが、そのひとつが濡れせんべいだった。


 もちろんこの濡れせんべい、袋から出しっぱなしにして湿気ったのでなくしょう油に漬けてすぐに包装するからだそうだ。米が主食の人間には、馴染みのあるご飯をイメージできて食べやすいのだろうか。帰りにはお土産に買ったのだった。




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