運が良いとか、悪いとか・・

 ここ数年医療保険のCMが多い。自分だけは健康だと信じて疑わなくても、万が一のために保険に入る。病気や怪我に限らず、事件や事故にだって遭わないという補償はない。

 しかしたとえば酔っ払い運転の車に追突される、あるいは放火される、そのような狙われたわけではないのに巻き込まれるというような事件事故は、「まさか自分の身には起きないだろう」と思う。

 でも出くわしてしまう人もいるし、出くわさない人もいる。こういう、運が良いとか悪いとかはどこの違いなのだろうか?

 今日、日傘をさして横断歩道を渡り、スーパーに入る手前で傘を閉じた。5〜6歩足を動かしたところで、いきなり頭の天辺に「ビチャ」っと1発、落とされた。突然だったのでかなりの衝撃だったのだけれど、正確には、もうちょっとでど真ん中だったから惜しかった。とはあとで思ったことだけど、こんなに正確なのだから鳥に狙われたのかな。

 すぐに振り向くと鳥がまだダラダラとフンを落としながら飛んでいくのが見えた。そのすぐ横には人と待ち合わせているのかずっと立っている女の子もいたし、横断歩道を渡る人も大勢いたのだけれど、被害者は私ひとりのようだった。

 スーパーのトイレの鏡の前で驚いた。白のブラウスの袖一面にシミができていた。落とされたのは頭だけではなかったのだ。日傘を差していたら良かったのかなぁ、それともお陰で白い日傘が救われたのか?

 命に関わる事件ではないのだけれど、これってどう考えても運が悪かったのだろう。だけど私ひとりだけ.寄りによって何故、私だったのだろう?

 昔、女の子ばかりで6人が団子になって歩いていた。そこへ鳥が落し物をして行った。その中の一人のコートが汚された。みんなで「きっと運が付いてくるよ」と慰めたのだったが、あの時も被害者は一人だけだった。

 私も、誰も言ってくれないから、良い運が付いてくるぞと無理やり思いながら、トイレでブラウスを洗い、おまけに頭頂部も洗って帰ってきたのだった。白いブラウスはもう着られないかな、と思ったけれど、シミも残っていないようなので・・・・、また着ちゃうかもしれない。



    ++++++++++++++++++
          「私の時間」 http://fukurouribon.hp.infoseek.co.jp